更新日: 2026年03月30日
親権・養育費・親子交流などのルールが新しくなりました

令和6年5月17日、父母が離婚した後の子どもの利益を確保するため、民法等の一部を改正する法律が成立しました。
この法律は、子どもの養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流等に関する規定を見直すもので、令和8年(2026年)4月に施行されます。主な改正内容は以下のとおりです(※)。
※ こども家庭庁作成のリーフレット「ひとり親家庭のためのみらい応援ガイド」を主に引用し作成しています。
親の責務に関するルールの明確化
こどもの未来を担う親としての責任
親権や婚姻関係があるかどうかに関わらず、こどもを育てる責任と義務についてのルールが明確にされました。
こどもの人格の尊重
こどもが心も体も元気でいられるように育てる責任があります。こどもの利益のため、意見をよく聞き、人格を尊重しなければなりません。
こどもの扶養
父母には、親権や婚姻関係の有無に関係なく、こどもを「養う」責任があります。養う度合いは、こどもが同じくらいの生活を送れる水準でなければなりません。
父母間の人格尊重・協力義務
こどものためにお互いを尊重して協力し合うことが大切です。下記のようなことは、このルールに違反する場合があります。
・暴力や相手を怖がらせるような言動、濫訴
・他方の親によるこどもの世話を不当にじゃますること
・特段の理由なく他方に無断でこどもの住む場所を変えること※
・特段の理由なく約束した親子の交流の実施を拒むこと
※暴力等や虐待から逃げることはルールに違反しません。
すべてはこどもの利益のために
親権者はこどもの世話やお金や物の管理などについて、こどもの利益のために責任を果たさなければなりません。
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【Q】離婚後に単独親権を選択した場合に、親権者でない親は、養育費などを支払う義務はありますか。
【A】離婚後に単独親権を選択した場合、親権を持たない親も、こどもに対する扶養義務を負うので、養育費の支払義務は消滅しません。何らかの理由で親子交流をしていないとしても、そのことで養育費の支払義務がなくなることはありません。
【Q】親は子の人格を尊重する義務を負っているから、常にこどもの意見に従わなければならないのですか。
【A】親は、こどもの年齢及び発達の程度に配慮して、こどもの利益になるかを考えて、必要な場合には、こどもの意向に沿えないこともあります。例えば、大人の都合がつかないのに、幼児が一人で父母の居所を行き来することは危険が伴うため、こどもの意見にそのまま従うのは難しいでしょう。ただし、そのようなときも、こどもの気持ちを受け止めつつ、こどもに対して、なぜそのような判断をしたのか説明することも大切でしょう。
※父母の一方が父母相互の人格尊重・協力義務等に違反した場合には、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。
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離婚後の親権に関するルールの見直し
新たな選択肢が広がります
1人だけが親権を持つ【単独親権】のほかに、離婚後に父母2人ともが親権を持つ【共同親権】の選択ができるようになります。
父母2人ともが親権を持つ【共同親権】の場合
日常のことは、一方の親で決められる
食事や着る服を決めること、短い旅行、予防接種や習い事などは、父母のどちらかで決めることができます。
大切なことは父母2人で話し合う
こどもの住む場所を変えることや将来の進学先を決めること、心と体の健康に大きな影響を与える治療やこどものお金の管理などについては父母が話しあって決められます。なお、父母の意見が対立するときには、家庭裁判所で、父母のどちらかが1人でその事項を決められるようにする裁判を受けることもできます。
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日常の行為とは、日々の生活の中で生じる、監護、教育に関する行為で、こどもに重大な影響を与えないものをいいます。
ただし、財産の管理や、養子縁組等は、「監護・教育に関する」ものではないので、父母双方で行う必要があります。
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一方の親が決められる緊急のケース
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父母の協議や家庭裁判所の手続を行っていては、適切なタイミングで親権行使をすることができなくなって、子の利益を害するおそれがあるような場合は急迫の事情があるといえるため、単独で親権を行使をすることができます。
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暴力等や虐待から逃れるために引っ越すこと、病気やけがで緊急の治療が必要な場合などは、父母のどちらも1人で決めることができます。
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【子供の生活場所について】
生活場所が頻繁に変わることで、こどもに大きな負担がかかる場合もあります。父母間で円滑なコミュニケーションがとれるか、父母双方ともに、こどもの病気のときなどにすぐ対応できるか、通学や友人関係等でこどもが大変にならないか、こどもの気持ちなどを考えて、子の利益の観点から取り決めてください。
【離婚した後のこどもの名字(氏)について】
父母が離婚しても、こどもの氏は変わりません。例えば、父母の一方が婚姻前の氏に戻し、こどもがそれと同じ氏に変えたいと思った場合には、家庭裁判所から許可を得て、氏の変更をする必要があります。15歳以上のこどもは自分で手続をしますが、15歳未満のこどもについては、親権者が代わりに行うことになります。離婚後共同親権とする場合には、こどもの氏についても、話し合って決めておくとよいと考えられます。
※共同で行使すべき親権を相手方に無断で行使した場合には、その経緯や態様によっては、親権者の指定、変更の審判や親権喪失、親権停止の審判等において考慮される可能性があります。また、他方の親権に対する侵害の程度によっては、損害賠償義務等が生ずることもあり得ます。
【Q】親権行使の受け手となる学校や病院等へはどのように親権や監護権に関する情報が伝わるのですか。
【A】親権行使の受け手となる学校や病院等がこどもの親権者や監護をすべき者、監護の分担の定めの有無・内容を把握する方法については、民法に特段の規定はなく、学校や教育委員会等は親権や監護権に関する情報を知り得る立場にありません。このため、親権者が必要と考える場合には、親権者が学校等に対してこれらの事実関係等を申告してください。
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養育費の支払い確保に向けた変更点
こどもの生活を守るために
養育費を確実に、しっかりと受け取れるように新たなルールの創設やルールの見直しが行われました。
取り決めの実効性アップ
文書で養育費の取り決めをしていれば、支払いが滞った場合にその文書をもって一方の親の財産を差し押さえるための申立てができるようになります。
※ 施行後に発生するものが対象です。
法定養育費とは
離婚時に養育費の取り決めがなくても、取り決めるまでの間、こどもと暮らす親が他方の親へ、こども一人あたり月額2万円の養育費を請求できる制度です。離婚後もこどもの生活が守られるよう設けられました。養育費が決まるまでの暫定的、補充的なものです。
※ 法定養育費は父母間で取り決めるべき養育費の標準額や下限額を定める趣旨のものではありません。
※ 施行後に離婚した場合が対象です。
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法定養育費は、あくまでも養育費の取決めをするまでの暫定的なものです。こどもの健やかな成長を支えるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続により、各自の収入などを踏まえた適正な額の養育費の取決め(支払方法、支払日など)を速やかにしていただくことが重要です。
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裁判手続きがスムーズに
家庭裁判所は養育費に関する裁判の手続きをスムーズに進めるために収入情報の開示を命じることができることとしています。また、養育費を請求する民事執行の手続きでは、地方裁判所に対する1回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きを行うことができるようになります。
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取り決めた養育費や法定養育費が支払われない場合、相手の財産の差押手続を申し立てることができます(地方裁判所に申し立てます)。
〇取り決めを行っていない場合
法定養育費が支払われていない場合には、戸籍と世帯全員の住民票を使って、差押えの手続をすることができると考えられます。
〇取り決めを行っている場合
取決め額(こども一人当たり月額8万円まで)について、その文書を使って、相手の財産(給料、預貯金等)の差押手続を申し立てることができます。この金額を超える部分について差押えをするためには、家庭裁判所で作成する調停調書や公証人が作成する公正証書などの特別な文書が必要になります。
〈履行の確保の手続について〉
養育費が家庭裁判所の調停や審判等で定められている場合には、履行勧告という手続を利用することもできます。家庭裁判所に電話等で申し立てることもでき、費用もかかりません。申立てを受けた家庭裁判所は、相手に対して支払を勧告しますが、この手続では支払を強制することまではできません。
【相手の勤務先や、財産がわからない場合】
地方裁判所で、財産開示の手続(債務者に裁判所に出頭してもらい、財産の状況について陳述してもらう手続)や、情報取得の手続(指定した銀行や市町村、登記所等に、債務者の銀行預金や給与、不動産等に関する情報を提供してもらう手続)を利用することができます。

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安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
こどものことを最優先に行われます
親子交流や父母以外の親族との交流に関するルールが見直されました。
親子交流の試行的実施
家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うことができます。家庭裁判所はこどものためを最優先に考え、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討し実施をうながします。
婚姻中別居時の親子交流
父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどものことを最優先に考えることを前提に、父母の協議で決め、決まらない時は家庭裁判所の審判等で決めることが明確にされました。
父母以外の親族とこどもの交流
こどもと祖父母などとの間に親子のような親しい関係があり、こどものために特に必要があるといった場合は、家庭裁判所はこどもと父母以外の親族との交流を定められるようになります。
Q&A
Q 共同親権になった場合に、ひとり親家庭支援(※)の対象者の取扱いには何か影響はありますか?
A ひとり親家庭支援は、親権の有無にかかわらず、配偶者のない者で現にこどもを扶養している者等を支援の対象者としており、離婚後の父母双方が親権者である場合でも対象者の取扱いに影響はありません。
※ひとり親家庭等日常生活支援事業、自立支援教育訓練給付金事業、高等職業訓練促進給付金等事業、ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業、母子父子寡婦福祉資金貸付等
Q 共同親権になった場合、児童手当や児童扶養手当の支給などに影響がありますか?
A 離婚後に児童手当や児童扶養手当を支給する場合は、民法上の親権や監護者の定めの有無にかかわらず、こどもを育てている実態があるか否かでその支給対象者を判断しています。
離婚後の父母双方が親権者となった場合にも、こどもを育てている実態があるかどうかで手当の支給対象者を判断します。
また、児童扶養手当の所得制限の所得算定については、受給者本人の所得によることとしているため、離婚後の父母双方が親権者となることにより算定に影響はありません。
Q 共同親権になった場合、保育の利用料には影響がありますか?
A 幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳児までは、全世帯を対象に無償化しているため、離婚後の父母双方が親権者となった場合でも現行の取扱いに影響はありません。
0歳から2歳児までについては、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護する者)及び当該者と同一の世帯に属する者に係る市町村民税所得割額により、市町村が保育料の算定を行っています。
市町村においては、どの程度こどもの監護を行っているか(関わっているか)という点を確認し、各家庭の事情を十分踏まえたうえで、保護者に該当する者を判断しているため、離婚後の父母双方が親権者となった場合でも、監護の実態を踏まえて判断する現行の取扱いに影響はありません。
Q 共同親権か単独親権かの違いにより、所得税法における扶養控除の適用に影響がありますか
A 所得税法においては、扶養親族であるこどもを有する場合について、そのこどもの所得金額が58万円以下であることや、そのこどもと生計を一にしていることなどの一定の要件の下、扶養控除の適用ができることとされています。
この扶養控除の適用に当たって、親権の有無は要件とされていないことから、共同親権か単独親権かの違いが扶養控除の適用に影響を与えることはありません。
参考・関連ページ
このページはこども家庭庁ホームページの「ひとり親家庭のためのみらい応援ガイド」を引用して作成しております。その他、民法改正に関するQ&Aやひとり親家庭支援について、下記リンク先より閲覧できますので、ぜひご確認ください。
こども家庭庁
■「ひとり親家庭のためのポータルサイト」ホームページ
■「こどもの未来のための新しいルール―親権・養育費・親子交流などに関する民法改正のポイント―」リーフレット
■「ひとり親家庭のためのみらい応援ガイド」パンフレット
■シングルマザー・シングルファザーの暮らし応援サイト「あなたの支え 」
法務省
■「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕」
■「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」パンフレットPDF
■Q&A形式の解説資料(民法編)
■Q&A形式の解説資料(行政手続・支援編)
■動画「離婚後の子の養育に関する民法等の改正について~親権・養育費・親子交流などについてのルールが変わります!~」(約37分)【Youtube法務省チャンネル】
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