冬は、行事や帰省など子どもが「いつもと違う環境」で過ごす機会が増える季節です。祖父母の家や友人宅への訪問、外出先での人混みなど、子どもはうれしさや興奮から探索行動が活発になり、思いがけない事故につながることもあります。
一方で、寒さから家で過ごす時間が増えるのも冬の特徴です。統計的にも、不慮の事故は住居内が多く、気をつけたいポイントがたくさんあります。
安全に、そして楽しく冬を過ごすために。注意したい子どもの事故と対策をご紹介します。

安全のための環境づくり
冬は、ストーブや電気ケトル、加湿器など、やけどの原因となるものが増えます。子どもの手の届かないところに置くだけでなく、コードを引っ張って落下しないよう、配線や設置場所にも工夫が必要です。
こたつやカイロなど、長時間同じ部位が温められることで起こる「低温やけど」にも要注意です。
また、年末年始や冬に増えやすい誤飲事故として、お年玉の小銭、大掃除用の洗剤、感染症対策の消毒液などが挙げられます。小さなものや危険なものは、子どもの手が届かない場所に置くことが基本です。
子どもは口だけでなく耳や鼻に物を入れてしまうこともよくあります。なんとか自分で取ろうとして、余計に奥に入ってしまうこともあるため、耳や鼻をしきりに気にするなど、いつもと違う様子が見られたら、やさしく声をかけ、必要に応じて耳鼻咽喉科を受診しましょう。

万が一、事故が起きてしまい、意識がぼんやりしている、出血が止まらない、やけどの範囲が広いなどの場合は、ためらわず救急車を呼びましょう。判断に迷ったら、#8000(小児救急医療電話相談)を活用してください。
家庭環境のチェックポイント
| □家電の置き場所 | 落下・転倒の危険がない安定した場所に設置 |
|---|---|
| □配線・コンセント | 引っ張れない工夫。カバーの設置 |
| □窓・ベランダ・浴室 | 施錠。踏み台になる家具や物がないか確認 |
| □洗剤・消毒液 | 子どもの手が届かない高所に保管 |
| □小物(小銭・電池・タバコ・薬等) | 来客時・帰省先でも机上に置かない |
| □寝具 | 大人用の厚いかけ布団は避け、顔を覆わない |
子どもの活動量は想像以上
冬の外遊びでは寒さから厚着をさせがちですが、子どもは大人より体温が高いため汗をかきやすく、汗をかいたままだと、かえって体が冷えてしまいます。ときどき様子を見て、汗をかいているようであれば、タオル等で拭いてあげ、一枚脱がせてあげましょう。
また、マフラーや紐付きのパーカーは、遊具などに引っかかり首が絞まる危険があります。サイズの合わない靴やブーツも転倒の原因になります。
一見楽しそうな「食べ歩き」も子どもにとっては大きなリスクになります。お出かけ先での綿菓子の割り箸・串のほか、宿泊先では歯ブラシも口に入れたまま走ったりしないよう見守りましょう。

冬の「かくれ脱水」にご用心
冬は空気が乾燥し、暖房によって室内の湿度はさらに下がります。特に、子どもは自分でのどの渇きに気づきにくいため、意識して水分を補給させることが大切です。
水分は一度に大量に飲むと胃腸に負担がかかるため、こまめに少量ずつ与えるのがポイント。気づいたときに飲ませるのではなく、起床時や入浴前後など、習慣として与えることが重要です。味噌汁やスープなど食事からも水分はとれます。
冬は室内の湿度にも気を配りましょう。目安は湿度40〜60%。加湿器の活用や洗濯物の室内干し、定期的な換気で適度な湿度を保つことは、感染症の予防にもつながります。

まとめ
冬に限らず、子どもの事故を防ぐには、「環境を整える」ことと、「目を離さない」ことが大切です。
特に、複数の家族が集まる場では、「誰かが見ているだろう」という油断が生まれがちです。また、小学校高学年の子どもに幼児の世話を任せてしまうこともありますが、子どもにとっては大きな心理的負担になることがあります。
子どもの見守りは、責任をもって大人が行い、ご家族で楽しい冬を過ごしてください。
※本記事の内容は、2025年12月時点の情報です。

●記事監修:こども未来局指導監査課